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今年はずいぶんと梅雨入りが早かったですが、思ったよりは晴れの日が多く、ほっと致しました。
梅雨の”中休み”という、なんだか特別なお休みをもらえたような単語を味わいながら、季節が移り変わっていくのを楽しみにしていらっしゃる方も多いのではないのでしょうか。
言葉の力/小林謙照
「うっせぇうっせぇうっせぇわ!あなたが思うより健康です!」
子どもたちが流行曲のサビを楽しそうにマネしています。Ado(アド)というアーティストの「うっせぇわ」という曲。
毒のある、反骨精神に満ちた歌詞で、社会人のストレスを歌い上げています。
正直共感できるところも多いです。
が、やはり我が子が「うっせぇうっせぇ」と連呼していると少し複雑な気持ちになります。
言葉の力を侮るなかれ。毒のある言葉遣いが身についてしまうと、知らぬ間に周りの人を嫌な気持ちにさせてしまうし、同じく毒のある言葉遣いをする人間が周りに集まってしまいます。
果たして、周りに毒が多い環境は幸せでしょうか。
仏教では克服すべき根本的な煩悩を『三毒』と言います。
一は貪欲(とんよく)=際限なく、必要以上にあれこれ欲すること。
二は瞋恚(しんに)=怒りや憎しみ嫉妬などの不快な感情を撒き散らすこと。
三は愚痴(ぐち)=誤った物の見方、愚かさ。毒づくことは二つ目の瞋恚にあたります。
そして三毒のやっかいなところは、自分では気付きにくいという点です。
皆さんもイライラしているときや、どうしても欲しいものがあるときなどは、自分のことも周りのことも見えていないはずです。
もし、幸運にも自分の中の『三毒』に気付くことができたのなら、しっかり心の動きを観察して、振り回されないようにお気をつけ下さい。
私も、まだまだ僧侶としても親としても未熟者ですが、子どもたちの模範になるように、できるだけ欲を抑え、怒りを鎮め、愚かな行動をとらないようにしたいと心掛けています。
度重なる自粛要請で、あれはダメこれはダメと言われ、いい加減に「うっせぇわ」と言いたくなるこの頃ですが、毒を吐くのは毒を飲んでいるのと同じ事。
食べ物が体を作るように、言葉は心を作ります。こんな時こそ、お釈迦様が我々に残して下さった法華経という良薬を飲んで、心穏やかに過ごしましょう。
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