さて今月の妙乃見山はこちらです。
【ピックアップ記事】今月の法話
心機一転
石原崇広
以前、妙見山で耳のご不自由な方が道を尋ねてこられました。私は、境内地図を身振り手振りでご案内しましたが、後で振り返るともっと出来たことがあったと思えてきました。
昨年5月より、川西市が行っている手話奉仕員養成講座に参加しました。参加者は中学生からご高齢の方まで、和やかな雰囲気で、好きなドラマの影響で興味を持たれた方など、参加理由は様々です。
当初は先生の手の動きの速さについていけず呆然とすることもありました。しばらくすると、手話を通してその人が歩んできた人生がダイレクトに伝わり、楽しく学ぶことが自然と出来るようになりました。
今では多くの方に周知されている手話も、昔は日常生活でも使うことを禁止されていたといいます。
昭和8年、世界に倣って日本でも、聞こえる人と同じように話すことを目的とした口話法(相手の口の形で読み解く)が教育現場で用いられました。しかし口話法では全てを読み取り聞き分け、理解することまでは困難でした。口話法だけに頼らなかった生徒たちは先生に怒られないように、ひっそり手話をしていたおかげで、手話は廃れずにもう一度日の目を見ることになりました。
日蓮聖人は『諸經与法華経難易事(しょきょうとほけきょうなんいのこと)』の中で「仏法ようやく顛倒しければ、世間もまた濁乱せり。仏法は体のごとし、世間は影のごとし。体曲れば影ななめなり」と説示されています。
私たちの暮らしを包括しているのが世間、いわゆる社会と思われがちですが、社会を動かしているのも一人の人間です。姿勢が悪くなれば自然と影も歪むように、私たちの信仰姿勢が社会を左右しているといっても過言ではありません。
なにげない道案内がきっかけで、自分の影が曲がっていることを知って良かったです。いつの日か手話で法話が出来るように道のりは長いですが、楽しく勉強していきたいと思います。
この一年、思いを新たにお題目をお唱えして姿勢を正していきましょう。